アブストラクト(1巻1号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : 鶏卵の発生に対するMethionine Sulfoximineの抑制作用
Subtitle : 原著
Authors : 関園子, 大恵金次郎, 平田利男, 荒井久雄, 佐藤裕, 二日市光郎, 米山醇, 中川宏明
Authors(kana) :
Organization : 神奈川歯科大学第2生理学教室
Journal : 神奈川歯学
Volume : 1
Number : 1
Page : 16-23
Year/Month : 1967 / 3
Article : 原著
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : 「抄録」 鳥類には歯はないが, 歯に代る特殊な顎骨がある. 本研究は鳥類を用いて顎骨の発生ならびにその奇形の原因を研究しようとした第1報であるが, 偶然の機会で神経毒Methionine Sulfoximineなる物質が一般発生上に思いがけない特殊の影響をおよぼすことを発見したので, 本論文は鶏卵発生に対するMethionine Sulfoximineの影響に関する研究である. まず第1に教室そなえつけの孵卵器で市販の鶏卵を孵化せしめる実験を約1年にわたつて試みた. その結果は, 通常60~70%の孵化率が日本においても外国においても専門孵化場での常識的な値とみられていたが, 研究室内では凡ての条件を改良し, 健康な鶏を研究室所定の飼育規定によつて飼育し, 雄鶏に対する雌鶏の比率にも考慮を加えた. かくて得られた自家卵を用い, 厳密なる条件で孵化せしめると93~96%の孵化成績を得ることがわかつた. もちろんこの孵化率は経済的孵化率ではないが, 研究に関してはこの程度の孵化率のものを用いなければ, 不測の誤差が入る. さて次にMethionne Sulfoximineを一定濃度にして卵殻に小孔を開けて健康卵に注入する. 注入後完全滅菌の絆創膏で小孔を閉じ, これを孵化器に入れ定期的に検卵をする. 結局完全孵化時期(21日)迄放置しその結果を見るという方法をとつた. もちろんほぼ同数の無操作健康卵を同時に同一の孵化器内で対照成績とする. 結果は極めて明瞭でMethionine Sulfoximine 10% 0.5ml入れた例でも, 発生は第1日目から完全に抑制せられ, 21日経過しても最初の日の鶏卵と全く異ならない. ただもしも少しく異なる点があるとすれば, 卵黄が割卵の際に崩れやすいということである. 正常卵では少しく乱暴な割卵をしても卵黄が崩れることがないが, 21日抑制経過卵では, 割卵中に卵黄が崩れる例が多い, ただし割卵せずに自然状態で小窓を開けて観察すれば卵黄の型は第1日と全く同じであることがわかつた. Methionine Sulfoximineは1947年英国のLord Mellanbyが精白小麦から発見したもので, かつまた英国において最初に合成がなされた. 神経生理学上および神経病理学上注目せられているゆえんは, これを腹腔, 静注, または直接脳脊髄液中に投与することによつて, テンカン痙攣を起す特徴があるということである. この意味でもしMethionine Sulfoximineが発生上に影響があるとすると, むしろ発生を促進するのではあるまいかと最初は考えたが, その結果は全く別で, 上記のごとく発生分化を完全に抑制するという結果であつた.
Practice : 歯科学
Keywords :

English

Title : INHIBITION OF EGG DEVELOPMENT BY METHIONINE SULFOXIMINE
Subtitle :
Authors : Sonoko SEKI, Kinjiro OE, Toshio HIRATA, Hisao ARAI, Yutaka SATO, Mitsuo FUTSUKAICHI, Atsushi YONEYAMA, Hiroaki NAKAGAWA
Authors(kana) :
Organization : Department of Physiology, Kanagawa Dental College
Journal : Kanagawa Shigaku
Volume : 1
Number : 1
Page : 16-23
Year/Month : 1967 / 3
Article : Original article
Publisher : Kanagawa Odontological Society
Abstract : Hatching rate of eggs by artificial incubator has been world-wide generally 70-75 %, which must be understood to be economical rate. 1) The authors made an experimental trial in the strictly conditioned laboratory incubaters, both in eggs side and apparatus, and have obtained 95-97 % rate. 2) Before the incubation, the authors introduced a small quantity of water, sodium and potassium chloride and others, among them Methionine Sulfoximine was included. Methonine Sulfoximine only inhibited whole stages of development of eggs. 3) The inhibition by Methionine Sulfoximine continued till 42 days without a sign of autolysis.
Practice : Dentistry
Keywords :