アブストラクト(37巻4号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : Morphometric analysis of digital radiographic bone images for trabecular bone structure
Subtitle :
Authors : 古屋延明
Authors(kana) :
Organization : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科
Journal : 神奈川歯学
Volume : 37
Number : 4
Page : 174-176
Year/Month : 2002 / 12
Article : 報告
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : 骨粗鬆症の診断および治療効果の判定は, bone mineral density(BMD)のみでなく, 骨梁構造の評価を加味して総合的に評価することが重要であることが知られている. しかしながら, 現在骨梁構造の評価法が確立されていないことから, 臨床的な評価を行うことは非常に困難である. そこで本研究では, 骨粗鬆症患者の大腿骨および腰椎に対するVitamin K2の骨梁構造改善治療効果について, 新しく開発したbone morphometric information analyzing systemを用いて解析を行った. 大腿骨のyoung adult meanが80%以下であることを基準に骨粗鬆症と診断された51名の患者に対し, 骨粗鬆症治療薬Vitamin K2(45mg/day)を1年間経口投与した. 投与開始1年後, 大腿骨あるいは腰椎のBMDが10%以上変化した患者33名を選択し, computed radiographyを用いてエックス線撮影し, mathematical morphological processingによる骨梁の骨格二値画像を抽出した. 骨格二値画像に対してmicrostructual indices calculationを行い, 骨格幅の変動を認めない26症例を最終的な解析対象とし, BMDの増減を基準に4群{大腿骨増加群(n=6), 大腿骨減少群(n=9), 腰椎増加群(n=5), 腰椎減少群(n=6)}に分類した. 解析法にはpixel percentage calculation, star volume analysis, microstructual indices calculation, fractal dimension, node-strut analysisを用い, 骨格の数, 間隙, 周囲長, 複雑性, 連続性および連結性に関する解析を行った. そして, 4群の治療前後における格媒介変数の変動をStudent's t-testにより有意差検定し(p<0. 05-0. 1), Vitamin K2の治療効果を判定した. 各群でのVitamin K2投与後におけるBMDの増減は, 投与前に対し有意差を認めた. 大腿骨においては, BMD増加群, 減少群ともに, 骨格数, 骨格周囲長および連結性に関する媒介変数に有意な変化を認め, それらの変化から両群における骨梁構造の改善が示唆された. 一方, 腰椎のBMD増加群, 減少群においても, 大腿骨とほぼ同様の媒介変数に有意な変化を認めた. しかしながら, 腰椎における媒介変数の変化は, 増加群, 減少群ともに骨梁構造の劣化を示唆した. そして, 減少群では増加群よりも骨梁構造の著明な劣化が示唆された. 以上の結果から, 骨粗鬆症治療薬Vitamin K2は大腿骨の骨梁構造改善に有効であることが示唆された. そして, その効果は必ずしもBMDの変動とは相関しないことが示唆されたさらに, 新しく開発したbone morphometric information analyzing systemは骨粗鬆症患者の骨梁構造に関する治療効果判定に有用であることが示唆された.
Practice : 歯科学
Keywords :