アブストラクト(37巻4号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : メタルインジェクションモールド法によるチタン製ブラケットのフリクション特性と溶出
Subtitle :
Authors : 津村智信
Authors(kana) :
Organization : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科
Journal : 神奈川歯学
Volume : 37
Number : 4
Page : 178-179
Year/Month : 2002 / 12
Article : 報告
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : [目的]本研究は, 生体親和性に優れた純チタンを用い金属射出成形法(MIM)によりブラケットを作製し, 臨床応用の具体化に向けてステンレス製ワイヤーのフリクションとステンレス製ブラケットおよびセラミックス製のブラケットとのフリクションについて比較検討すること, 純チタン製ブラケットを使用し, 各種矯正用ワイヤー, ブラケットそして結紮線との組合せによる各材料からの構成成分の溶出量について検討を行った. 材料および方法 [方法] 1)フリクション試験. 実験に用いた比較用のブラケットは, MIMによるブラケットと, ステンレス製小臼歯用スタンダードエッジワイズブラケット(ロッキーマウンテン社製以後SSBと表示する)とセラミックス製ブラケット(3M UNITEK社製以後CEBと表示する)である. 試験に用いたワイヤーは, ステンレス製0. 016インチ丸(16SW 3M)と角ワイヤー(22SW 3M)2種類を使用した. ステンレス製ブラケット6個を使用し, 各ブラケットの間隔を8mmとして上部3個, 下部3個で一直線に配列し中央部のみ16mmのスペースをもたせ, 厚さ3mmのアクリル板上にスーパーボンドを用いて装着を行った. アームには, 無荷重, 20g, 50gの分銅でそれぞれ荷重を負荷した状態で10mm/minの牽引速度でワイヤーを移動し実験を行った. 測定値は滑り出す直前の最大静止摩擦力をフリクションとして表示した. 2)溶出試験. 溶出試験に使用したブラケットはSSB, MIBであり, バッカルチューブはステンレス製チューブ(ORMCO, 以下SUBと表示する)とMIMで作製した純チタン製バッカルチューブ(以下MITと表示する)をそれぞれに使用し, ワイヤー22SWとNi-Ti製ワイヤー(22NW)を用い, バンド(トミー)と結紮線(3M UNITEK)でそれぞれを組合わせてフルマウスの1/4に相当するマルチブラケット装置を組み立てた. 各装置は, 1%の乳酸溶液と0. 9%の生理食塩水をそれぞれ70ml用いて37℃中で1週, 4週, そして12週間浸漬を行った. 浸漬後, 溶液を高周波誘導結合型プラズマ発光分析機(ICPV-1012島津)にて溶出元素について定量分析を行った. [結果及び考察]MIBのフリクションはSSBおよびCEBより小さくなる傾向であり, このことからMIBはスムーズな歯の移動を行うことが出来ることが示唆された. 溶出する金属量は, 生理食塩水に浸漬するよりも乳酸のほうが多かった. ステンレス製ブラケット, ワイヤーと結紮線の組合わせで溶出する金属量の最大はNiであった. 一方, チタン製ブラケット, ワイヤーと結紮線の組合わせで溶出する金属量はステンレス製ブラケットとの組合わせよりも少なかった.
Practice : 歯科学
Keywords :