アブストラクト(38巻2/3号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : Measurement of oxidative stress in stroke-prone spontaneously hypertensive rat brain using in vivo electron spin resonance spectroscopy
Subtitle : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科博士論文 内容および審査の要旨
Authors : 宮崎裕之
Authors(kana) : みやざきひろゆき
Organization : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔組織学講座
Journal : 神奈川歯学
Volume : 38
Number : 2/3
Page : 111-112
Year/Month : 2003 / 9
Article : 報告
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : [論文内容要旨] 虚血-再灌流障害, 脳腫瘍, 神経変性疾患など様々な脳疾患において, フリーラジカルによる酸化ストレスが関与していることはよく知られている. 脳内の酸化ストレスをフリーラジカルを特異的に検出可能な生体電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance:ESR)法を用いて, 脳内の酸化ストレスを評価した. 脂溶性が高く容易に血液脳関門を通過するニトロキシル化合物である3-methoxycarbonyl-2, 2, 5, 5-tetramethylpirrolidineN-oxyl(MC-PROXYL)と血液脳関門を通過しない3-carbamoyl-2, 2, 5, 5-tetramethylpirrolidine 1-oxyl(carbamoyl-PROXYL)を比較検討することにより, これら2種類の薬剤のスピンプローブとしての性質をESR画像装置を中心に評価した. ESR3次元画像においてMC-PROXYLは頭部全体に広く分布しているのに対し, carbamoyl-PROXYLはほとんど分布していないことが確認された. また頭部, 頸部, 胸部および腹部における各部位におけるこれらスピンプローブの非侵襲生体L-band ESR法を用いても頭部領域のみにcarbamoyl-PROXYLと比較してMC-PROXYLの信号強度が強かった. 以上の結果から, MC-PROXYLの脳内酸化ストレスプローブとしての有用性が確認された. 次に既に酸化ストレスが亢進していると報告されている脳卒中自然発症ラット(Stroke-Prone Spontaneously Hypertensive Rat:SHRSP)にこの方法を適用した. ラット尾静脈からのMC-PROXYL投与後に頸椎脱臼し, 摘出した脳の2次元投影ESR画像測定をおこなった. コントロールとして用いたWistar Kyoto rat(WKY)と経時的なESR2次元投影画像での分布状態を比較すると, SHRSPにおいてMC-PROXYLの減衰は亢進していた. このESR画像の結果を補強するために, L-band ESRを用いてSHRSPとWKYに尾静脈から投与されたMC-PROXYLの頭部領域の減衰を非侵襲的に測定した. 測定によりSHRSP, WKYのMC-PROXYLのESR信号強度から示された代謝動態は2-コンパートメントモデルを示し, SHRSPにおけるMC-PROXYLの減衰速度定数はphase I, phase IIともにWKYに対し有意に亢進していた. これはこれまで報告されたようにSHRSPにおいて脳が強い酸化ストレスを受けているため, MC-PROXYLの代謝速度が亢進していることを示唆している. 本論文は初めて生体内ESR法を駆使してSHRSPの酸化ストレスの亢進を報告したもので, この評価法を用いて薬物や食品の抗酸化機能におけるスクリーニングテストを行えば, 近い将来に脳保護作用示すような優れた抗酸化機能を有する新規薬物の開発または食品を見出すことが可能になると思われる.
Practice : 歯科学
Keywords :