アブストラクト(38巻2/3号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : Twenty-four Hours Fluoride Intake and Excretion of Fluoride in Urine in Japanese Adults
Subtitle : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科博士論文 内容および審査の要旨
Authors : 小宮山まり子
Authors(kana) : こみやままりこ
Organization : 神奈川歯科大学口腔衛生学講座
Journal : 神奈川歯学
Volume : 38
Number : 2/3
Page : 119-120
Year/Month : 2003 / 9
Article : 報告
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : [論文内容要旨] 陰膳法による日本人のフッ化物(F)摂取量に関するデータは少なく, 2005年から使用される「第七次改定日本人の栄養所要量」の策定に向けてF摂取量の確定が急がれている. 本研究では, あらかじめ調理しF濃度を測定した食事メニューの摂取重量からF摂取量を決定するという新しい測定法を試みた. それとともに, 1ppmFによる水道水F添加をシミュレートし, 24時間の尿中へのF排泄と口腔環境中のFの保持を評価し, 日本人にとっての水道水F添加の安全性と有効性についても検討した. 6名の成人を対象に, 調理に使用する水道水のF濃度が, 横須賀市水道の0.062ppm(F-)とう蝕予防上至適濃度とされている1.0ppm(F-)とした以外は同一の条件で, 平日の2日間においてF摂取量と尿中F排泄量, ならびに唾液中F濃度を測定した. 24時間の平均のF摂取量はF+が2,213μg, F-が1,173μgであり, 約1.0mgの増加であった(89%増). 一方, 食事と飲料からの24時間のF摂取量は, それぞれF+が686μgと1,526μg, F-が36μgと1,037μgであった. また, 体重当たりのF摂取量は, F+が34.6μg/kg, F-が18.2μg/kg, であり, 95%信頼区間において, F-ではFの適正摂取量として推奨されている50μg/kgを, また, F+では毎日のF摂取の上限値とされている100μg/kgを超えた者はいなかった. 24時間の平均尿中F排泄量はF+で1,444μg, F-で1,037μgであり, それぞれ総F摂取量の61%と78%に相当し, 飲料からの94%と99%に相当した. また, 歯磨剤を含む総F摂取量の78%(F-)と61%(F+)が尿中に排泄したと見積もられた. さらに, 糞中への排泄が総F摂取量の10%であると仮定すると, 身体への保持はF+の場合683μgで総F摂取量の29%に相当し, F-の場合は154μg, 12%であった. また, 夕食後30分における平均唾液中F濃度は, F+が0.03ppmでF-が0.01ppmであり, 統計的に有意であった. したがって, 本研究で採用した方法は日本のF摂取量を確定する際の新しい測定法として位置付けられるとともに, 50μgF/kgという適正摂取量から判断して, 現状のF摂取量では不足であり, 1ppmFに水道水F添加をした場合の安全性と有効性の基礎を提供するものである.
Practice : 歯科学
Keywords :