アブストラクト(38巻2/3号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : Porphyromonas gingivalis lipid Aのマウス細胞に対する免疫生物活性‐炎症性サイトカイン産生および破骨細胞分化誘導能‐
Subtitle : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科博士論文 内容および審査の要旨
Authors : 谷昇
Authors(kana) : たにのぼる
Organization : 神奈川歯科大学口腔細菌学講座
Journal : 神奈川歯学
Volume : 38
Number : 2/3
Page : 122-123
Year/Month : 2003 / 9
Article : 報告
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : [論文内容要旨] 成人性歯周炎の原因菌であるPorphyromonas gingivalis(P. gingivalis)のLPSはその多彩な免疫生物活性により歯周病における組織破壊に関わる重要な病原因子の一つであると考えられており, その活性の本態がlipid Aにある事が明らかにされている. 本研究ではP. gingivalis SU 63株から分離したlipid Aの歯周炎における病原的意義を明らかにする目的で, LPS応答性C3H/HeNおよびLPS低応答性C3H/HeJマウスの腹腔マクロファージに対する炎症サイトカイン産生誘導能(IL-1, IL-6およびTNFα産生性)について比較検討すると共に, 本lipid Aの破骨細胞分化誘導能について検討した. 実験は, チオグリコレート刺激により得たマウス腹腔マクロファージを用いて行い, 種々の濃度のP. gingivalis lipid Aで刺激後, 培養上清中のIL-1, およびTNFα量を市販のELISA kitを用いて測定し, IL-6量はIL-6依存細胞の増殖活性を指標として測定した. また, 破骨細胞分化誘導能はPA6細胞と骨髄細胞の共培養系を用いて検討した. その結果, LPS応答性C3H/HeNマウスの腹腔マクロファージに対し, P. gingivalis lipid Aは0.1μg/ml濃度でコントロールと比較して有意に高いサイトカイン産生誘導能を示した. 同様にLPS低応答性C3H/HeJマウスに対しても有意なサイトカイン産生誘導能が認められ, それぞれ活性のピークは刺激後12~24時間に認められた. また, 本菌のLPSならびにlipid Aには, 骨髄細胞の破骨細胞への分化誘導能が顕著に認められた. これらの実験結果から, P. gingivalisのlipid Aはマウスマクロファージから有意に炎症性サイトカインの産生を惹起すると共に骨髄由来の前破骨細胞から破骨細胞への分化を誘導することで, 歯周炎の進展に関与していることが示唆された.
Practice : 歯科学
Keywords :