アブストラクト(38巻2/3号:神奈川歯学)

神奈川歯学

Japanese

Title : Porphyromonas gingivalisの病原性状に関する研究‐膿瘍形成株と非形成株の性状比較について‐
Subtitle : 神奈川歯科大学大学院歯学研究科博士論文 内容および審査の要旨
Authors : 隼瀬純次
Authors(kana) : はやせじゅんじ
Organization : 神奈川歯科大学口腔細菌学講座
Journal : 神奈川歯学
Volume : 38
Number : 2/3
Page : 123-124
Year/Month : 2003 / 9
Article : 報告
Publisher : 神奈川歯科大学学会
Abstract : [論文内容要旨] Porphyromonas gingivalisは, 成人性歯周炎の発症に係わる重要な細菌であり, マウスを用いた膿瘍形成能を指標として病原株と非病原株とに分類されている. 本研究では, 膿瘍形成能の異なるP. gingivalis W83株(病原株)と381株(非病原株)を用いて歯周病原性に係わるいくつかの性状を比較し, 歯周炎との関連性について検討した. 即ち, 両菌株を用いてトリプシン用酵素産生能, コラゲナーゼ産生能およびヒト線維芽細胞への付着能ならびマウスマクロファージの捕食に対する抵抗性について比較検討した. さらに, 歯槽骨吸収誘発能を比較するため, 両菌株をそれぞれラット口腔内へ直接接種する方法により実験的歯周炎を誘発させ, 上顎臼歯部歯槽骨の吸収程度を測定した. これらの実験から細菌の増殖速度は菌株間で違いは認められなかったが, コラゲナーゼ活性はW83株で強い活性が認められ, 組織破壊に重要な役割を果たしていることが推測された. 一方, W83株では細胞への付着性がほとんど認められず, マウスマクロファージ捕食に対して強い抵抗性を示した. また, ラットを用いた実験的歯周炎モデルにおいては, 381株の方がW83株よりも強い骨吸収誘発能が認められた. 尚, 両菌株の菌体表層構造物を電子顕微鏡で観察した結果, 線毛の発現量に明らかな違いが認められたことから, 歯周炎に関わる病原性としてはトリプシン様酵素やコラゲナーゼなどのプロテアーゼ活性よりも口腔内への定着因子とされている線毛の有無や発現量が, 歯周炎発症に関してより重要であることが示唆された.
Practice : 歯科学
Keywords :